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ゴッホ展と国宝 源氏物語絵巻展 [美術鑑賞]

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11月も終わりに近づき既に晩秋ですが、芸術の秋ということで、続けて2つの展覧会に行ってきました。

一つ目は六本木の新国立美術館で開催されているゴッホ展です。金曜日の夜間開館を利用しました。
作品はオランダのファン・ゴッホ美術館、クレラー・ミュラー美術館所蔵のものです。

ゴッホというとどちらかと言えば苦手な部類の画家だったのですが、南仏旅行を決めてからというもの、やはり気になる存在になりました。旅行を決めてから鑑賞した「ボストン美術館展」や「オルセー美術館展2010ポスト印象派」でもついつい目が[目]向いていました。

そして実際にゴッホ由縁の地である南仏のアルルやサ・ンレミを訪れて、ゴッホ展を見たくなったというわけです。

今回の展覧会ではサブタイトルの「私はこうしてゴッホになった」のとおり、ゴッホがゴッホになるまでの過程が
6つのパートに分けられ、ゴッホの絵だけではなく、影響を受けた画家の絵も並べて展示されています。

Ⅰ.伝統-ファン・ゴッホに対する最初期の影響

この時期はバルビゾン派やフランスの写実主義、オランダのハーグ派の強い影響を受けていて
屋外や農村の風景の作品がほとんどでした。色使いも暗い感じです。

Ⅱ.若き芸術家の誕生

ゴッホはほとんど独学で絵画を学んだため、著名な画家たちの作品を模写することよって技巧を習得しました。
ミレーの素描を模写したものが展示されていましたが、試行錯誤していた様子が伝わってきます。

Ⅲ.色彩理論と人体の研究-ニューネン

この頃は人物画に取り組んでいて、農民の頭部をよく描いていました。
展示されている作品の中では「白い帽子を被った女の頭部(ホルディーナ・デ・フィロート)」が
印象的でした。

Ⅳ.パリのモダニズム

いわゆるゴッホのタッチが見られるようになりました。

気に入った絵は額縁も自分で作成していたそうで、現在も残っている数少ないもののひとつである
「マルメロ、レモン、なし、葡萄」の絵が展示されていましたが、その色から
黄色い静物画と呼ばれています。


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*この絵の絵葉書を買ったのですが、家に帰ってよーく見るとなんと絵とハガキの部分の向きが逆になっていました。
問い合わせると、気に入らない方はお送りしますとのこと。でも間違ったとは決して言いません。これから購入される方はチェックした方がいいかも^^


ここのコーナーには「オルセー美術館展2010ポスト印象派」でも見ていたシスレーとかスーラ、シニャックの絵も展示されていて、プチオルセー展ポスト印象派の雰囲気がありました。

またゴッホは浮世絵からも色彩、構図、トリミングなど強く影響を受けており、収集した浮世絵が展示されていました。


Ⅴ.真のモダン・アーティストの誕生―アルル

今回の展覧会の目玉の一つゴーギャンと共同生活をしていたアルルの部屋が実物大で再現されていました。
ゴーギャンの部屋はこの左隣りにあったそうです。

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私が行った後すぐにサッカー日本代表の監督ザッケローニ監督がゴッホ展に行ったとのニュースをネットで見ました。
ここのパートに展示されている「緑の葡萄畑」が一番のお気に入りだったとか。
ゴッホが生存している時に売れた唯一の絵だそうで、流石監督は審美眼が違うと記事には書いてありました。

Ⅵ.さらなる探究と様式の展開―サン・レミとオーヴェール・シュル・オワーズ

私が一番印象に残ったのは、やはりこの夏に訪れたということがあるからだとは思いますが、サン・レミの療養院の庭を描いたものでし
た。

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特に左の療養院の絵は、訪れた時には時間がなくて入り口から覗いただけでしたが、雰囲気が滲み出ています。
附近の
松林もこんな感じでした。きっとゴッホもあの附近を散歩していたと思うと感慨深いです。

 サン・レミの記事はこちらです→http://fumi-kuwachan.blog.so-net.ne.jp/2010-09-20

(2010年11月19日)

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そしてもう一つは、国宝源氏物語絵巻です。
五島美術館の50周年記念で、いつもは別々に公開されている名古屋の徳川美術館所蔵の作品と五島美術館所蔵の作品が一挙公開となりました。

私の家から一番近い美術館なのですが、毎回、展示期間が短いこともあって見逃していたのですが、
一挙公開ということでやっと目的達成です。21日の日曜日の朝いちで行って参りました。
10時開場で9時45分頃に到着すると既に行列ができていました。

入り口のもみじの紅葉は上部のみ色付いていました。

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展示室は一つで、入場制限をしているのでゆっくりと鑑賞できました。
思った以上に小さな絵でしたが、とても緻密に描かれています。
模写の作品と並べてあるのでよくわかりましたが、本物はかなり色が薄くなったり剥げている部分があり
本物だけではよくわからない部分があります。特に草花や、着物の柄は模写の作品を見ないとわからない程でしたが、
当時は素晴らしい色合いであったことが窺われました。
絵はもちろんですが、その絵の物語の本文を書写した「詞書(ことばがき)」は、金箔や銀箔などで装飾された豪華な紙に美しい筆跡のかな文字が書かれています。

チラシを拝借しました。

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源氏物語の内容を詳しく理解していればより一層興味深く絵を鑑賞できたと思うのですが、その知識がなかったのが残念でした。
家に戻ってその話をすると、母が以前NHKで瀬戸内寂聴さんが源氏物語の話をしていた時のテキストを持っており(えー、持っていたの?先に言ってよ~、って思いましたが)、遅まきながら今読んでいるところです(^^ゞ

雅な雰囲気に浸った後はお庭を散策。 

お庭の案内図はこちらをどうぞ→
http://www.gotoh-museum.or.jp/museum/garden.pdf

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庭園の中には非公開ですが茶室もあります。

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紅葉していれば完璧でしたが・・・。

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陽がよく当たる部分では少し赤く染まっていました。

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多摩川に向かって傾斜している斜面には武蔵野の雑木林の面影が残っています。

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青山にある根津美術館に雰囲気が似ていますが、もう少しこじんまりとした感じでした。

(2010年11月21日)

 

 


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コメント 35

Gamaoyabeeeen

芸術の秋、してますね~。南仏旅行が芸術ハートに火をつけましたね。(笑)
源氏物語をカンペキに読破するのはかなりハードル高いですよね。
by Gamaoyabeeeen (2010-11-28 00:48) 

ameya

ゴッホ展、見に行ってみたいです。
ゴッホの絵、ずいぶん長い間みてないような。
久々に触れてみたいです。
五島美術館。。。企画展もさることながら、庭の風情もいい感じですね^^
by ameya (2010-11-28 06:55) 

土芽

ゴッホ展12月までやってるんですね。
時間作って見に行こうかな。
そういえば五島美術館は行ったこと無いかも。
源氏物語はもう無理なので別の何かの機会に行きたいと思います。

by 土芽 (2010-11-28 08:07) 

テリー

ゴッホは、オルセーで、いくつか見ましたが、悲劇的な画家ですが、それゆえもあって、興味のある画家です。折角、日本で、ゴッホ展をやっているなら、見に行きたいものです。
by テリー (2010-11-28 10:36) 

ネイル

五島美術館 すばらしいお庭ですね!
紅葉していたら またきれいでしょうね。 
by ネイル (2010-11-28 10:48) 

hieroh66

プロバンスを旅行されたkuwachanさん ゴッホ展は感激ひとしおのことと
お察しいたします。
by hieroh66 (2010-11-28 11:30) 

ぷーちゃん

深まる秋。
紅葉は見たし、今度は
芸術かな。kuwachanさん、とっても
行動的ですね。いろいろ行かれて
(^-^)/
by ぷーちゃん (2010-11-28 12:37) 

コンブ

私もたまには芸術の秋をしないとなぁ。
それにしても洋と和の差が面白いですね。
by コンブ (2010-11-28 13:37) 

BlogPetのぴっころ

展示って…なんだろう…?
by BlogPetのぴっころ (2010-11-28 15:24) 

雅

あぁ、ゴッホ展は行きたいなー。
でも行ってる時間がない(T_T)
沖縄にも美術館はいくつかあるんですが、行きたい、と思うやつがほとんどないんですよねー。
夏に手塚治虫展に行きましたが。無料券が手に入ったんで(笑)
by (2010-11-28 21:42) 

kuwachan

♪Gamaoyabeeenさん
今年はこの2つだけなので、ちょこっとだけですが^^
源氏物語は以前現代語訳を読もうと思って挫折しました。
ハッキリ言って難しいです。
by kuwachan (2010-11-28 23:26) 

kuwachan

♪ameyaさん
まだやっていますので、お時間がありましたら
是非お運びくださいね。やっぱり本物は違います。
五島美術館のお庭、四季折々で楽しめるようです。

by kuwachan (2010-11-28 23:28) 

kuwachan

♪土芽さん
ゴッホ展、興味のある方にはオススメです。
五島美術館のこの展覧会のあと改修工事で
しばらくお休みなるようなので、工事明けに(^_-)-☆
by kuwachan (2010-11-28 23:35) 

kuwachan

♪テリーさん
先日やっていたオルセーではで「星降る夜」が来ていましたね。
今回はオランダの美術館の所蔵のものですが
たっぷりと楽しめると思います。
日本でこれだけの作品を一挙に見られるのは嬉しいですね。
by kuwachan (2010-11-28 23:37) 

kuwachan

♪ネイルさん
お庭が思った以上に素晴らしかったです。
ちょっと紅葉には早かったのが残念でした。

by kuwachan (2010-11-28 23:38) 

kuwachan

♪hieroh66さん
はい。やはり南仏旅行に行ったので違いましたね。
アルルやサンレミの風景が思い出されました。
by kuwachan (2010-11-28 23:40) 

kuwachan

♪ぷーちゃんさん
すっかり晩秋となってしまいましたね。
記事にすると行ったところばかり書いているので
行動的ですが、日頃はだらだらだったりします(^^ゞ
実は今もお出かけ中(笑)
by kuwachan (2010-11-28 23:41) 

kuwachan

♪コンブさん
やはり秋は展覧会が多いので
気持ち的に行こうかな?という感じにもなります。
ハイ、全く対照的な展覧会でした^^
by kuwachan (2010-11-28 23:41) 

kuwachan

♪雅さん
なかなか時間を作るのが大変ですよね。
大きなイベントも控えていますしね(^_-)-☆
今年は成果が楽しみですね。頑張って下さい!
美術展、東京はやっぱり恵まれていますよね。
by kuwachan (2010-11-28 23:42) 

yuzuhane

芸術の秋ですね。素敵な時間を過ごされましたね。
ゴッホの黄色い静物画・・・印象的ですね。ゴッホの黄色は下にいろいろな色を重ねているから単純な黄色とはと一味違うと聞きました。ゆかりの地を旅された後なので、感慨深い観賞になったのではないでしょうか。
五島美術館のお庭も見事ですね。
by yuzuhane (2010-11-29 09:02) 

nomu

日本人はゴッホがすごく好きなんですってね。
私も好きだけど、どちらかというとモネ派です。^^
印象派は全般に好き。あとは、シャガールとか、いいな♪

by nomu (2010-11-29 10:16) 

まる

ゴッホ展、次は福岡の九州国立博物館へやってきますよ~^^
国宝源氏物語絵巻、いいなぁ!
源氏物語のあらすじは「あさきゆめみし」で熟知しているので
行きたい気持ちでいっぱいです!
(漫画ですけどね^^;)
by まる (2010-11-29 11:39) 

hrd

芸術の秋にピッタリの話題ですね
芸術とか文芸などに疎い自分が恥ずかしいです^^;
by hrd (2010-11-29 11:56) 

kuwachan

皆さん、こんばんは。
昨日もそうでしたが、今夜もソネブロ重くないですか~?
それとも私のPCのせい?^^
というわけでまとめのお返事で失礼します。
by kuwachan (2010-11-29 21:58) 

kuwachan

♪yuzuhaneさん
もっとたくさん行きたい美術展もあったのですが
この2つははずせなくて、やっと行ってきました。
そうですね、ゴッホの黄色は特別な感じがしますね。
ゴッホの色のつけ方は乾かないうちに重ねるのが特徴だそうです。
ゆかりの地に行った後に見る絵はやはり違うような気がしました。


♪nomuさん
はい、日本人はそうみたいですね^^
私は今まではちょっと苦手だったのですが、今回の旅行で興味が沸いてきました(^^ゞ
シャガールの色使いも素敵ですよね☆


♪まるさん
ゴッホ展、次は福岡なんですね。
源氏物語絵巻も絵ですから、昔の漫画のようなものですよね(^_-)-☆
源氏物語、漫画であるんですねっ。
それを読むのが一番手っ取り早いかも^^


♪hrdさん
秋になるといつもはなくてもそんな気分になります(^^ゞ
hrdさんのお写真自体が芸術です☆
by kuwachan (2010-11-29 21:59) 

クリス

ゴッホ展は、会社帰りに寄りたいですね。
宴会シーズンがはじまる前に。。。
by クリス (2010-11-30 06:49) 

ぷりん&りく

ゴッホ展・・・そんなに絵を見る人でわないでしけど・・
やっぱ。。有名な方だと見てみたくなっちゃう~★
by ぷりん&りく (2010-11-30 09:31) 

kuwachan

♪クリスさん
金曜日の夜間開館は混雑が土日ほどではないので
利用することが多いです。
12月に入るとそういう機会が増えますね^^
by kuwachan (2010-11-30 22:52) 

kuwachan

♪ぷりん&りくさん
私も名前で行くことが多いですよ(^^ゞ
有名な絵はやはり本物を見ておきたいですから。
by kuwachan (2010-11-30 22:55) 

こうちゃん

ゆっくり、美術館めぐりもしたいものです。
来年は時間が出来そうかな?
by こうちゃん (2010-11-30 23:02) 

kuwachan

♪こうちゃんさん
美術鑑賞も忙しいと行きたくても時間を作るのが大変ですよね。
続くときは続きますがパッタリという時も結構あります(^^ゞ

by kuwachan (2010-11-30 23:27) 

pi

ゴッホと南仏は切るに切れませんね。
私もゴッホ展、行きました!アルルの部屋の再現は面白かったです。よく、あんな狭い部屋を描こうと思ったなぁ、なんて思ってしまいました。
出口にあるガチャガチャで、ひまわりのアートパズルを狙いましたが、見事、自画像が当たりました(^^ゞ
by pi (2010-12-01 02:21) 

kuwachan

♪piさん
はい、そうですね。切っても切れませんね
現地に行ってさらにそれを強く感じました。
ゴッホ展、いろいろ工夫がされていて面白かったですね。
出口のガチャガチャ、かなり人が並んでいて閉館間際だったので
パスしてしまったのが悔やまれます(T_T)
by kuwachan (2010-12-01 12:54) 

emu310

ゴッホ、うーんでしたが、今回の記事で興味がわいてきました。
「今更!」言われました。
ゴッホ展、行きたがってますが、なかなかです。そろそろ終いですね。

リンク戻ってきました。
絵との対比、とても良かったです。
素晴らしい体験されましたね。
by emu310 (2010-12-12 09:37) 

kuwachan

♪emu310さん
おはようございます。
お久しぶりです・・・^^
>ゴッホ、うーん
よくわかります・・私もそうでしたから。
南仏に行かなければ行ってなかったでしょう(笑)
あと10日切りましたね。
by kuwachan (2010-12-12 10:22) 

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