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ブルターニュ地方への旅 56・・・番外編 日帰りでランス⑧(フジタ礼拝堂) [海外@ブルターニュ2013]

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                       フジタ礼拝堂(ノートルダム・ド・ラ・ぺ礼拝堂)

 

この礼拝堂は、日本人の画家である藤田嗣治(ツグハル・レオナール・フジタ)が80歳の時に、
シャンパンのメーカーであるマム社の資金支援を受けて建てた礼拝堂で
内部の壁一面には藤田のフレスコ画が描かれています。

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礼拝堂でもらったパンフレットによると、藤田は1959年ランスのサン・レミ聖堂(また後日記事を書きます^^)から
不思議なインスピレーションを受けてカトリックに改宗、洗礼を受けたランスの大聖堂で結婚式を挙げ、
当時マム社の社長であった洗礼親のルネ・ラルーとともに、翌年、聖母マリアに捧げるロマネスク様式の礼拝堂を
建立することを決意し、設計とすべての装飾を藤田が手掛けたそうです。

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工事が着工されたのは1965年、建築家モーリス・クロジエが指揮し、ステンドグラスはシャルル・マルク、
金属装飾と彫刻はマクシム・シケとアンドレ兄弟によって製作され、藤田が壁画を描いたのです。
それも、生涯で初めて、約200平方米わたる絵画装飾のため、難易度の高い技術を要するフレスコ画に挑戦。

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礼拝堂に入ると、すぐ左手に受付があって年配の男性の方がいらっしゃいました。
先客は外国人の方で2~3名だったでしょうか。残念ながら内部は撮影禁止の表示が・・・・[もうやだ~(悲しい顔)]

 

 

外国人の先客の方が受付の男性の方に撮影してもよいかと尋ねたのか、
その時たまたま人数が少なかったからなのか、見て見ぬふりをしてくれたのか、
その辺の記憶がもう1年も経ってしまったので曖昧になってしまったのですが、
撮影を許して下さり、とにかく気の変わらぬうちにと慌てて撮り始めたことだけは覚えています[わーい(嬉しい顔)]
なお、説明はすべてパンフレットを参考にしています)


礼拝堂の入口の真正面に描かれているものです。
天井の柱と絵が重なっていますが、、上部には子羊をのせた父なる神が、福音著者を象徴した四匹の動物に
取り囲まれています。左右は「エリザベト訪問」 左が聖エリザベト、右が聖母マリア。

 

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その奥は、「キリストを抱く聖母マリア」
平和の聖母が両側の女性と子供たちを祝福、保護している場面だそうです。

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[ひらめき]                                      向って右から二人目ひざまずいた髪の毛が黒い人物はは奥様とか↑?

 

向かって右手にある半ドーム型の円天井には「最後の晩餐」。

 

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[ひらめき]


ステンドグラスには、中世期に頻発した「死の舞踏」の場面。

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恐ろしい獣や骸骨によって、戦争の恐ろしさ、とりわけ広島の原爆の凄惨さを物語っているとか。

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「キリストの復活」

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「受胎告知」

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「葡萄を収穫する聖母」
左右に描かれた小さな建物は、向かって左が「サンレミ聖堂」、右が「ランスのノートルダム大聖堂」。

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ステンドグラスは、6つの部分からなり、天地創造、人間の堕落、ノアの箱舟(一番右下?)を物語っています。

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↑欠けていますが、左の絵は「七つの大罪(ウィキによると高慢、物欲、嫉妬、憤怒、貪食、色欲、怠惰)」。

 

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一番左の絵はキリストの洗礼。

 

入口の上には「キリストの磔刑」

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[ひらめき] 画像をクリックして大きくして右端の方を見ると、群衆の一人として藤田自身が右の方に描かれています。(右から三人目9
左隣は資金支援をしてくれたルネ・ラル―(マム社の社長)の姿も見えます。右手の方に見える絵は「キリストの降架。」 

 

「キリストの降誕」

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十字架を背負うキリスト。

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宗教画ということもあるかもしれませんが、今まで見ていた藤田の絵の印象とは違った感じを受けましたが
自画像を見てやっぱり藤田だと思いました。

 

1966年6月3日~8月31日間に一気に描き上げたようです。  藤田のサインです。

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どこがロマネスク様式なのかはよくわかりませんでしたが、
この扉は、以前訪れたロマネスクの教会にあった扉を彷彿とさせるものでした。

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バスが横付けされ、日本人のツアー客も訪れていました。

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礼拝堂近くのバス停です。
ここからバスに乗り、サン・レミ聖堂に行くために一旦駅に戻りました。

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(2013年6月7日)


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コメント 30

ma2ma2

最後の晩餐はイタリアのが有名ですが、いろんなところにあるのですね!
今日は北海道に来ていますが、気温6度ととても寒い日になっています(^^)
by ma2ma2 (2014-05-17 23:45) 

ソニックマイヅル

見事な画ですね。歴史を伝えようという想いがすごく伝わってきています。^^;
by ソニックマイヅル (2014-05-18 05:51) 

ameya

藤田嗣治の作品。。。こういうものもあったのですね。
知りませんでした。
建物と絵画が一体となって素晴らしいです。
いつか行ってみたいです。
by ameya (2014-05-18 07:19) 

takenoko

やっと礼拝堂の名前の由来がわかりました。
by takenoko (2014-05-18 07:40) 

kick_drive

おはようございます。まず藤田嗣治がどんな人かから始まりましたが以前なんでも鑑定団で取り上げられていたのを思い出しました。ノートルダム大聖堂と比較したらちっぽけ以下の礼拝堂ですが中は勝るとも劣らないとんでもなくすばらしいものです。宮崎駿さんが見たらなんて言うだろう。
by kick_drive (2014-05-18 09:03) 

ryuyokaonhachioj

ありがとうございます。
歴史が伝わってくる、建造物ですね。ステンドグラスが
綺麗で素敵です。
by ryuyokaonhachioj (2014-05-18 11:42) 

リュカ

礼拝堂の中はこんな感じなのですねー^^
複製画が展覧会に来ていて、天井近くの高いところに展示されていたのを思い出しました。
戦争の恐ろしさを表す、フジタらしい描写ですね。
静かに語りかけてくるものがありそうです^^

by リュカ (2014-05-18 11:50) 

YAP

普段は撮影禁止のところが撮影許可されたとのことで、よかったですね。
私たちも、こうして貴重な写真を見られるわけで、ありがとうございます。
絵のタッチが独特ですね。

by YAP (2014-05-18 14:17) 

ふじかわ

やっぱり、石の文化ですね。
by ふじかわ (2014-05-18 16:24) 

mamii

やっぱり、絵が素晴らしいです。
by mamii (2014-05-18 16:45) 

hrd

Foujitaなんですね^^
海外の文化に日本人が深く関わっているコトを知れて嬉しいです。
by hrd (2014-05-18 17:33) 

獏

キリスト教にかぎらず宗教画は
深く考えよ 思慮せよと言われているように感じます☆
そしてステンドグラスはそれを光を使って
暗示しているように思えるのです(^^)♬

by 獏 (2014-05-18 18:39) 

タカタカ

建物と建造物そして礼拝堂を撮影されたのを
拝見させて頂き光栄です、じっくりと構えて撮影が
してみたくなりますが、一生無理でしょうね。
by タカタカ (2014-05-18 20:59) 

kou

藤田嗣治については名前とわずかな知識しかなく、海外の礼拝堂を作ったことを知りませんでした。
撮影禁止の場所が多いですが、撮影可能だったとのこと、よかったですね。
外光が礼拝堂の中に射しこみ、その反射で壁画や天井画が浮かび上がる様が素敵です。
by kou (2014-05-18 21:16) 

sheri

日本人がフランスで教会を建てた(設計した?)ってスゴイことですね。
観光客がバスで来るのもうなずけますね。
by sheri (2014-05-18 21:38) 

ため息の午後

日本人ゆかりの礼拝堂ですか。
外国で活躍している日本人には誇りを感じます(笑)。
by ため息の午後 (2014-05-18 22:54) 

ぱぱくま

祈りの気持ちは国が違えど心は通じるものがあるでしょうね。
藤田さんのこと、あまり知りませんでしたが勉強になりました。
by ぱぱくま (2014-05-18 23:11) 

ake_i

藤田嗣治さんの作品は物凄く好きです。今までも何度も見た記憶が沢山ありますが、
が礼拝堂を作ったことは知りませんでした。
受胎告知、感動です。ぞくっとしました。
素晴らしい作品をkuwachanは目の当たりにしたのね。
こういう体験は是非してみたいです。日本人のツアーにも入ってるんだ!!!

今日到着しました。今、けいたいが全面停止してて・・・明日、なおしてきます。ありがとうございます。この場ですみません。
by ake_i (2014-05-19 00:23) 

kuwachan

皆様、おはようございます。
ご訪問、nice!&コメントをありがとうございます。

♪ma2ma2さん
聖書の有名な一場面なのでよく描かれていますね。
仰る通りダヴィンチのが一番有名で、観に行きましたよ^^


♪ソニックマイヅルさん
自分の中の思いを全てこの壁画にぶつけたのかもしれませんね。


♪ameyaさん
私もガイドブックを見て知ったのです。
藤田の晩年の渾身の力作だと思いますが、
絵画のようには運ぶことができないのが残念なところです。


♪takenokoさん
そういうことだったのです。
画家の藤田嗣治の礼拝堂です。


♪kick_driveさん
現在でもフランスで最も有名な日本人画家らしいです。
なんでも鑑定団で取り上げられていたということは、どなたかが絵画をお持ちだったのでしょうか?
きっと凄いお値段がついたことでしょうね。

by kuwachan (2014-05-19 06:48) 

kuwachan

♪ryuyokaonhachiojさん
ステンドグラスにも藤田の戦争に対する思いが込められていて
見る者の心を打ちますね。


♪リュカさん
こじんまりとしたこう言ったら変かもしれないけれどもワンルームの礼拝堂です。
壁画なので持ち出すことができないから、複製画が展覧会にきていたのね。
確かに天井近くが一番その雰囲気を感じられるところかもしれないです。
藤田自身は従軍画家として戦争を経験しているのでその思いもあるでしょうね。


♪YAPさん
行った記念として写真に収めることができて本当にラッキーでした。
ネットで検索をしていたらやはり写真の撮影を許されている方がいらしたので
ある程度その日の担当の方の裁量に任されているのかもしれませんね。


♪ふじかわさん
そうですね。
木造もないこともないのですが、基本石造りです。


♪mamiiさん
訴えかけてくるもがありますね。
絵に力を感じます。


♪hrdさん
そうでしたね。るびをふると「ふぅ~じた」になるのかな?^^
藤田の場合は、日本よりもフランスの方が有名かもしれないですね。

by kuwachan (2014-05-19 06:50) 

kuwachan


♪獏さん
深いですね~。
確かに宗教画にはおっしゃるようなところがありますね。
画家がどうゆう状況によってその絵を描くことになったか
によっても随分違うと思いますが、
見ていると訴えかけてくるものがあるように感じます。


♪タカタカさん
こちらこそご覧いただきありがとうございます。
こういうものじっくりと撮る機会はなかなかないですよね。


♪kouさん
私もそんな詳しいわけではなく(^^ゞ、何回か美術展で見ただけですが
この礼拝堂のことは以前旅行のガイドブックで以前見たことがあって、
日本人の画家として興味があったので、ランスに行く機会があれば
行ってみたいなと思っていました。
特別に撮影ができたのは本当にラッキーでした(*^^)v


♪sheriさん
強力なバックアップを得られたからできたことだったと思いますが
それだけフランスに深い係わりがあったということなのでしょうね。


♪ため息の午後さん
今のように日本と海外と行き来が簡単ではない時代に
海外に渡って活躍した努力は凄いものがあると思います。


♪ぱぱくまさん
私もそうだと思います。国境などありませんよね。
藤田の場合、決意を持ってこの礼拝堂を建てたので
その決意が絵に込められているのでしょう。


♪ake_iさん
独特の雰囲気を持った画家ですよね。彼の作品のもよく猫が登場しますね^^
私はたまたまフランスに行く機会に恵まれたのでこの礼拝堂のことを知りましたが
もし行くことがなければ恐らくこの礼拝堂のことは知らなかったと思います。
リュカさんによると展覧会に複製画が来ていることもあったようですが(^^ゞ
ランスに立ち寄るツアーだったらきっと入っていると思いますが
ランスに行くツアーは少ないかもしれないですね。

ご連絡ありがとうございます^^携帯が停止って大丈夫ですか?

by kuwachan (2014-05-19 06:57) 

yuzuhane

晩年になって難緯度の高いフレスコ画に挑戦したのも特別な思いがあったんでしょうね。壁面を飾るそれらが静かな存在感を放っていますね。係りの方のお目こぼしでこんなに丁寧に拝見できてよかったです。
by yuzuhane (2014-05-19 07:51) 

aloha

写真撮影が出来たのはラッキーでしたね。
禁止、と書いてあれば聞くまでもなく諦めてしまうのですが、
こんなこともあるんですね(^^;)
by aloha (2014-05-19 12:43) 

libre*

藤田さんは猫絵でも有名で晩年は宗教画を描いてたとか・・・
色彩がやさしく心休まるような作品ですね、
素晴らしい作品をみせていただきありがとうございました。
by libre* (2014-05-19 14:00) 

あおたけ

壁一面に描かれた作品は迫力ありますね〜♪
思わず拡大した写真に見入ってしまいました。

日本人が手がけた礼拝堂はもちろんスゴいですが、
その存在をちゃんと把握して、
現地へ向かわれるkuwachanさんの行動力と探究心が
感心させられます(^^)

by あおたけ (2014-05-19 16:32) 

kuwachan

皆様、こんばんは。
ご訪問、nice!&コメントをありがとうございます。

♪yuzuhaneさん
壁画の題材的には聖書の有名な場面ばかりですので非常にわかりやすかったですが
心に秘めた思いをぶつけるように約2か月間という短時間で仕上げたということは
驚くべきことだと思います。準備に準備を重ねていたのでしょうね。


♪alohaさん
滅多にないと思われる写真撮影ができてラッキーでした。
本当にこんなこともあるんだな~と思いました。
礼拝堂ですが、個人美術館のような感じになっていますので、
ダメ元で「撮影してもいいですか?」と尋ねると案外許してくれるかもです。


♪libre*さん
藤田の猫の絵は有名ですよね。
特に礼拝堂の壁画ということで抑えた色合いを意識して描かれたかもしれませんね。
ただ、その中にも訴えるような力強さのようなものが感じられましたよ。


♪あおたけさん
取り囲むように描かれた壁画とその間に挟みこまれた
ステンドグラスが見事でした。

いやいや・・もしランスにフジタ礼拝堂ひとつしかなかったら
ランスへ行ったかどうかは自信がないです(笑)
ノートルダム大聖堂の存在がやはり大きいです。
フジタ礼拝堂は地球の歩き方にもちゃんと載っていますし
その他のガイドブックにもでていますから(^^ゞ

by kuwachan (2014-05-19 23:47) 

yoko-minato

素晴らしい礼拝堂ですね。
日本人画家が手がけられたとは・・・
こういう形で構成に残されるのは
意義あることですね。
by yoko-minato (2014-05-20 05:13) 

kuwachan

♪yoko-minatoさん
こんにちは。
小さな礼拝堂ですが、心に残るとても素晴らしい礼拝堂でしたよ。
資金を援助して下さる方がいて、夢が実現でき、藤田本人も本望だったことでしょう。
by kuwachan (2014-05-20 13:04) 

koh925

日本人が建てたこのような礼拝堂があるのですね
新鮮な驚きです!
by koh925 (2014-05-20 16:39) 

kuwachan

♪koh925さん
こんばんは。
フランスでもっとも有名な日本人の画家である藤田嗣治が建て、
その壁画を描いた礼拝堂で、本人も奥様とともにここに眠っています。
by kuwachan (2014-05-20 22:35) 

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