国宝燕子花図屏風@根津美術館 [美術鑑賞]
美術館の建替えで暫く公開されていなかった尾形光琳の国宝燕子花図屏風が4年ぶりに展示されていることを
つい最近知りました。(遅いって(T_T)) 建替えになる前に観たいと思っていたものの見逃してしまい、
2008年の秋の大琳派展でも見逃しており→こちら、このタイミングを逃すとまた来年となってしまうので、
金曜日の午後半休を取って、観に行ってきました。
会期末ということもあって、平日にもかかわらず結構混雑していました。
地下鉄の表参道の駅から原宿の方向とは反対側の方へ約10分程歩いたところに美術館はあります。
美術館は東武鉄道の社長などを務めた初代根津嘉一郎が蒐集した日本・東洋の古美術コレクションを保存し、
展示するために開館されました。
建て替えられた新しい美術館は隈研吾氏の設計です。
入り口を入ると、美術館の建物の入り口まで竹垣が連なる長い通路となっています。
すぐ脇に道路が走っているのですが、この竹垣によってすっかりと遮断され、美術鑑賞への誘いに相応しい空間と
なっているような気がしました。
没後400年 特別展 長谷川等伯 [美術鑑賞]
日本水墨画の最高峰、至宝といわれる「松林図」描いた長谷川等伯(1539~1610)の没後400年を記念する展覧会が、
現在、上野の東京国立博物館の平成館で開催されています。(22日迄です)
開催期間が1ヶ月と短期のため、冷たい雨の降る3月7日の日曜日に行って来ました。
私が東博に行く日はなぜか雨傘の使用率が非常に高いのです。
今回も雨が降ったり止んだりでした。
雨なので、人も少なめじゃないかと期待したのですが、阿修羅の時のような異常な混雑はないものの、
9時45分頃に到着し、入場まで10分程待ちました。
場内も最初のブースが凄い混雑でした。どの展覧会でもそうですが、入り口の部分が詰まってしまいますね。
ただ、待てば前に進むことができる状況でしたので、まあまあというところでした。
(希望としては、混雑時にリュックや大きなカバンを持っての鑑賞は止めて頂きたいです。
外国の美術館では必ず大きな荷物は預けなければ入場させてくれませんし、ペットボトルの水は捨てなければ建物さえ入れません。
日本はクロークは無いし、コインロッカーが少ないんですよね・・・・)
等伯の東京や京都でいわゆる有名な作品はほとんど鑑賞したことがあるのですが、いい絵は何度観ても飽きませんし、
すっかり忘れていた作品もあって(汗)、今回もまた新しい発見がありました。
特に今回は没後400年ということで全国から等伯作品が集められ、展示されるということで楽しみにしていました。
展覧会はこのような順序で展示されています。
第1章 能登の絵仏師・長谷川信春
第2章 転機のとき-上洛、等伯誕生
第3章 等伯をめぐる人々 -肖像画-
第4章 桃山謳歌 -金碧画-
第5章 信仰のあかし -本法寺と等伯-
第6章 墨の魔術師 -水墨画への傾倒-
第7章 松林図の世界
能登の七尾で生まれ、染物屋の養子となりその後絵師になった等伯は、当時は「信春」と名乗り、
主に仏画を描いていました。その後京に渡り、狩野派にも入門し修行したことが残された絵からわかっています。
細かく、丹念に細部にわたって、繊細に、緻密に描くという言葉は等伯のためにあるのではないかと思われるほどです。
追記・・・伊藤若冲も驚くほど緻密で繊細ですね(^^ゞ
最初は仏画そして花鳥画、肖像画、金碧画、水墨画どれをとっても思わずその素晴らしさにため息が出てしまいます。
特に印象に残っているものをいくつかご紹介します。
・日蓮聖人の肖像画・・・天蓋や袈裟の模様まで驚くほど事細かに克明に描かれています。
・萩芒図屏風・・・初見かと思ったら、出光美術館での展覧会で観ていた作品でした。
全然印象に残っていなかったのですが、今回見たときにはその美しさにハッとさせられました。
自分がまるでそこにいて秋風に吹かれているような感じを受けました。
・山水図 襖・・・大徳寺の三玄院で住職の留守中に等伯が勝手に上がり込んで書いた絵です。
襖の柄を降る雪に見立てて一気に書き上げ、この絵を見た住職は、その素晴らしさに赦してしまったと言われています。
圓徳院で見たことがありますが、その時の作品と同じものとは思えませんでした。展示方法によるものかもしれません。
・柳橋水車図屏風・・・驚くことに柳の一枚一枚丁寧に描かれています。考えただけでも気が遠くなる作業です。
・仏涅槃図・・・本法寺にはこの作品を展示するためのまるで体育館のような建物があります。
3階位のところから見るようになっています。あまりの大きさの眺めるって感じでした。
さすがの東京国立博物館でも天井からの高さが足りず、下の部分は手前側に折り曲げられスロープ状になって展示されていました。お釈迦様を取り囲む動物の表情までこと細かに描かれています。
・楓図と松に秋草図屏風(国宝)・・・見事な枝ぶりの巨木に紅葉そして草花が見事に描かれています。
この絵を所蔵する智積院では等伯の息子久蔵が描いた桜図(国宝)も一緒に展示されていて
これまた素晴らしいです。
チラシを拝借しました。楓図
・松林図(国宝)・・・この絵は何度見ても惹きつけられます。幽玄の世界、まるで霧の中の松林を彷徨っているような不思議な感覚に陥ります。随分前に同じ東京国立博物館の国宝展で観たときよりもの展示が工夫されていました。
近くで見るよりも少し離れて佇んで観るのと特にそう感じられました。
もちろん至近距離での鑑賞で、松の葉の力強いタッチも見逃せません。
七尾の方がこの絵を見ると七尾の海岸だとすぐに思われるそうなので、いつか七尾に行って確認したいと思っています。
・参考写真でしたが、大徳寺三門の壁画・・・一般には非公開。天井画は柱に残されている絵の具の跡から
柱には仁王像が描かれています。
数年前ライバル狩野永徳展にも行きましたが、細かい描写や繊細さという点では私は等伯かな?と思います。
最後に音声ガイドは元NHKの松平アナで、まるで、TVの歴史番組を見ているような感じでした(^^ゞ
このあと展覧会は京都の国立博物館で4月10日~5月9日まで開催されます。
上野公園の東京国立博物館前、緋寒桜でしょうか?濃い色が春を思わせますね。
ボルゲーゼ美術館展@東京都美術館 上野 [美術鑑賞]
先週の水曜日(2月3日)、用事があって休暇をとったので、用事を終えた後上野に足を伸ばし
「ボルゲーゼまで行きたいのよね・・・」とおっしゃっていたのです。
その時はボルゲーゼについて全く知識がなく^^;ボルゲーゼ???一体どこにあるのかしら?状態だったです(恥^^)
オルセー美術館展とハプスブルク展 芸術の秋2009 ④ [美術鑑賞]
前売りチケットを買っていたものの、期間はまだまだあるからと後回しにしていた2つの展覧会の会期末が
近づいてきたので慌てて行って来ました。
一つ目は、家から距離的には近いのですが行きにくい世田谷美術館で開催されていたオルセー美術館展。
パリのアールヌーヴォーのコレクションがやってきていました。(こちらは既に終了しています)
パリのオルセー美術館へも随分前に一度行ったことがあるのですが、その時は絵ばっかり見ていて、
多分このあたりは駆け足だったようなというか・・・展示されていた記憶がをないんですよね~(^^ゞ
またパリに行く機会があればオルセーへは是非行きたい美術館です。
今回は、パリのアール・ヌーヴォーという企画で、とても鑑賞しやすかったです。
この世田谷美術館は東名の用賀ICの近くにある砧公園の中にあります。
もともとは(進駐軍の?)ゴルフ場だったところで、雑木林も残る緑がいっぱいの公園です。
子供の頃はこの近くの小学校に通っていたのでよく来ていました。
当時は砧公園でなく砧緑地って言っていたような気もします
その頃は本当にただ広いだけという印象でしたが、今では様々な施設もできて綺麗に整備されています。
園内を歩くのは前回世田谷美術館に来た時以来なので、10年以上前?いやもっと前だったかも^^
暫く昔を懐かしみながら園内を散策しました。
エミール・ガレはガラス工芸でその名前を知っていましたが、
今回は家具が展示されていていました。その一つ 婦人用机です。
その図柄が日本の影響をうけたものであり、
なかなか興味深かったです。
1900年の万国博覧会に出品されたモデルです。
ガラス工芸で有名なドーム兄弟の作品も展示されていました。
テーブル ランプの!“睡蓮”です。→
名前をご存知の方も多いと思いますが、ルネ・ラリックの作品も展示されていました。
カトラリーで有名なクリストフル社の銀メッキのポットやミルク入れなども
ありました。当時から既に有名だったのですね。
特にこの展覧会では、その当時を象徴する人物として、建築家のエクトル・ギマールと女優のサラ・ベルナールを
取り上げていました。
建築家のエクトル・ギマールは、パリのメトロの入口や駅舎を建設した人だそうです。
女優サラ・ベルナールのコーナーで、チェコの画家ミュシャのポスターが展示されていました。
ミュシャは2年前にチェコに行った時のプラハで美術館を見学し、また聖ヴィート大聖堂にも彼の作成した
ステンドグラスがありその名前を覚えていました。→その時の記事はこちらです
彼がまだ無名の頃、パリの印刷工場で
アルバイトとして働いていた時に、
当時人気女優だったサラ・ベルナールの
舞台のポスターの依頼があったのですが、
そこのデザイナーがたまたま休暇中で
ミュシャが代わりにやったことから、
ミュシャは一夜にして有名になったそうです。
←これは、その時描いたポスターでは
ないのですが、ミュシャはこんな感じの絵を
描く画家です。参考用です。
他には、七宝焼き(特に緑色が鮮やかだったのが印象的)、金細工、陶芸などの作品が展示されていましたが、
陶芸は日本や中国の陶芸との出会いによって革新的な進歩があり、純白から有色へと変遷していったそうです。
日本の陶芸品ではないかと見間違うような作品もありました。
(2009年11月23日)
皇室の名宝 -日本美の華-@東京国立博物館 芸術の秋 2009 ③ [美術鑑賞]
天皇陛下御即位20年記念特別展「皇室の名宝-日本美の華-」1期、2期に行って来ました。
1期は既に終わってしまっていますが、2期は今度の日曜日29日まで開催中ですので、興味ある方はお急ぎ下さい。
1期は「永徳、若冲から大観、松園まで」というタイトルどおり絵画中心。
2期は「正倉院宝物と書・絵巻の名品」です。
どちらもまさに蔵出し展覧会!名宝を堪能してきました。
阿修羅再び@奈良 芸術の秋 2009① [美術鑑賞]
先週の週末、法事のため父の田舎である島根県へ行く途中、奈良と京都で少しばかり古都の秋を楽しんできました。
(実は昨年もこの時期訪れました→こちら)
折りしも奈良では、正倉院展及び東京→九州と長い旅から奈良へと戻った阿修羅像の帰山記念として
「お堂で見る阿修羅」が公開されています。
東京(上野)では会期末だったためにとにかく凄い人で、肝心の阿修羅像には人の渦の中に入り込めず
至近距離での鑑賞を諦めてしまい→こちら、また既に展示が終わっていた仏像もあったので、
今回は私にとってはまたとないチャンス!これを見逃す手はないので行ってきました。
JR奈良駅から興福寺に向かって三条通を歩いていると、街路樹や公園の木々が秋の装いとなり始めていました。
9時開場で、私が会場に到着したのが9時15分頃。既にウネウネの行列になっていましたが、
パッと見てニンマリ(*^^)v 東京よりも列が短く、30分待ち位かな?と思いながら最後尾につきました。
実際には40分程となりましたが、東京と比べたら2分の1の待ち時間でした。
薄暗いお堂の中に仏像(釈迦三尊像、四天王像、八部衆、十大弟子等全部で21体)が整然と並んでいます。
東博の広い展示場で見るのとはまた違った雰囲気で、お堂の中で一同に会している姿は圧巻でした。
お目当ての阿修羅像はというと、一番手前の真ん中にいました。係りの人は「少しずつ左へ移動してください!」
「ゆっくりご覧になりたい方は後ろに下がって下さい!」と連呼するものの、ほとんど動きません。(当たり前か・・^^)
でもじっと待っていると少しは動き、一番前でガン見してきました。
顔全体がほんのりとサーモンピンク色に紅潮し、美少年ということですが男装している美少女にも見えましたね
すっきりとした顔立ち、ほっそりとしたしなやかな腕と手のひらの動き、真っ直ぐ正面を見据えた切れ長の目は、
少し離れたところから眺めると目が合ったような気にさせられました^^
阿修羅以外の八部衆も、たぶんそれぞれ意味を持っているのだとは思いますが、特徴があって面白いですね。
前頭部にツノがはえていたり、頭のトグロを巻いたヘビが載っていたり、鳥の頭になっているものや
獅子や象の冠を被っているのもありました。
それから十大弟子が纏っていた袈裟がまるでドレープのようになっているところが印象的でした。
仮金堂での鑑賞を終えてお堂から出てくると、まるで順路のように北円堂(国宝)へ。
なぜか阿修羅展とセット券になっているんですよね。ほとんどの方が矢印に沿って移動していました。
北円堂は昨年時間切れで見られなかったところです。
円堂とは、六角形や八角形のお堂で、亡くなった方の霊を弔うために建てられたも建物だそうです。
ここでは運慶の代表作と言われている仏像が公開されていましたが、それを取り囲んでいる四天王像(国宝)の
表現がとってもユーモラスでした。(四天王像は運慶作ではありません)
多聞天はまるで自転車で出前をするお蕎麦屋さんのような手つき、広目天は左手を上げ、サタデーナイトフィーバーの
トラボルタのよう(shinさんのところで見たばかりだったからかな?^^)、増長天はおそ松くんのイヤミのシェーのような
スタイルをしていて、持国天は驚いたその瞬間のような今にも飛び出そうな目をしていました。
時間があれば正倉院展を欲張りたかったのですが、約束の時間が迫ってきて奈良を後にしました。
阿修羅展&ルーヴル美術館展@上野公園 [美術鑑賞]
このチャンスの逃したら見に行けないと思い、丸1日休みにして行ってきました。
9時15分頃に上野駅に到着すると公園口の改札口付近には係員がいて、ロープが張られ、人だかりが!
構内で美術館のチケットを販売していてそれを購入する人の列でした。
阿修羅展はHPから既にe-チケットで購入済みだったのでそのまま会場へと向かいます。
公園口にもチケット売り場があり、そこでルーヴルのチケットを購入。
そのすぐそばがルーヴル美術館展をやっている国立西洋美術館で・・ちらと覗くと待ち時間0分。
阿修羅展は開館前から並んでいると聞いていたので、どうせ並ぶのだったら並ばずに観られる方から
芸術の秋・・・フェルメール展&大琳派展@上野公園 [美術鑑賞]
七五三だった15日の土曜日の午後、東京の上野公園で開催されている二つの展覧会に行ってきました。
16日までの会期の大琳派展は、お尻に火がついた状態でして、会期末の週末そして今なら4つの「風神雷神」が
鑑賞できるということで40分待。
フェルメール展も40分待ということを公園の入り口でチケットを購入する時に聞かされ、迷った挙句、
閉館時間が早いフェルメール展の方へ先に行くことにして、上野公園内を歩くと木々が色づき始めていました。
フェルメール展は開催前から、関西在住のブロガーであるmayukwさんから必ず鑑賞に行くようにとの指令が
でていて、開催直後に大琳派展の前に国立博物館で開催されていた「対決-巨匠たちの日本美術」とセットで
鑑賞しようと思っていたのですが、私のお目当ての長谷川等伯の「松林図」の公開が既に終わった後だったために
出鼻を挫かれてしまい、それじゃ暑い夏を避けてと思っていたらズルズルと今に至ってしまったわけなのですが、
こちらも会期が来月14日となったので少し焦りが出てきた状態でした。
正倉院展@奈良 [美術鑑賞]
お墓参りに島根県まで行ってきましたが、あそこまで旅費を掛けて行ってそれだけで帰ってくるのも悔しいので、
あれこれと探していると、丁度10月25日から奈良の国立博物館で正倉院展が開催されていることを見つけ、
寄り道してきました。
今回で60回目ということですが、東京の国立博物館で開催された3回を含めると63回になるそうです。
右の画像は本館です。正倉院展は新館での開催です。
○十年前学生の頃に一度訪れたことがあるのですが、その時の記憶が既に曖昧になっていまして(^^ゞ
狭い展示室に人がぎっしりだったということと、当日が体育祭で授業がなかったので、あちこちで友達に会ったという
ことだけはよ~く覚えています。
近鉄奈良駅から国立博物館へと向かって歩いているとやっぱり奈良ですね・・・早々に鹿ちゃんに遭遇。
月曜日ということもあって多少は空いているんじゃないかということを期待していったのですが、会期が2週間と大変短い
こともあって、お昼前に会場に到着すると15分待ちという表示が。でも、昨年行った京都の狩野永徳展のこと思えば
楽勝でした。あの時は会期末近かったこともあるのですが、外で50分位待ったと思います。
新館はとても広かったのですが、会場内は大勢の人で、注目の展示物の前では当然のことながら人垣ができていました。
私が入場した時に、後10分程で講堂でボランティアの人による今回の出品作品の説明が始まるというので、
鑑賞前に聞いてみました。見るポイントをスライド?OHP?を利用しながら説明して下さいました。30分弱でしたので、
これから足をお運びになる方で、もしお時間に余裕があれば聞いてから鑑賞すると分かりやすいかと思います。
ウィーン美術史美術館所蔵静物画の秘密展 [美術鑑賞]
昨年、中欧旅行に出かけた時にmayuさんから「ウィーンでは美術史美術館は必見よ、是非寄ってきて!」と
もちろん全部ではないのですが、7月の初めから9月中旬まで六本木にある国立新美術館で
国立新美術館の設計は黒川紀章さんです。
初めて足を踏み入れたので、携帯で一応記念撮影。地下1階から3階まで吹き抜けの凄~く広い空間、
レストランやカフェはそれぞれの階ごとにあって、本格的なフランス料理から気楽に食べられるところまで
ただ、後から見学して失敗した!と思ったのですが、2階のカフェの方がお値段はほんの少しばかり高いですが、
ゆっくりできそうです。次回行く機会があったら試してみますねっ。